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付記2.a-Si薄膜作製に関する追加事項



ステンレス鋼基板の洗浄法

 ステンレス鋼基板は有機溶剤を用いて油分等を完全に取り除く。以下にその手順を示す。

 1. THF(テトラヒドロフラン)中で加熱 20分間
 2. トリクロロエチレン中で超音波洗浄 20分間、その後 加熱 10分間
 3. アセトン置換
 4. メタノール置換
 5. 純水中で超音波洗浄 10分間、その後 加熱 10分間
 6. メタノール置換
 7. アセトン置換
 8. トリクロロエチレン中で加熱 5分間
 9. アセトン中で加熱 5分間
 10. 空気中で乾燥

トリクロロエチレンの代わりにベンゼン等を、また、アセトンの代わりにヘキサン等を使用することもできる。


r.f.グロー放電分解法の概要1-6)

 反応容器は石英製で、直径約15cm、高さ約40cmである。電極は銅板で、円柱形の反応容器にぴったり合うように曲げてある。基板をセットした後、反応容器内を十分に排気し、ヒーターを入れて、基板を約1時間加熱する。その後、N2 を導入し、5分程度放電させ、内部のcleaningを行なう。N2 を排気した後、原料ガスを導入し、約30分間放置して温度を安定させる。放電を必要時間行ない、薄膜を作製する。放電が終了したらヒーターを切り、ガスを抜きながら、約1時間かけて放冷する。その後、N2 を大気圧まで導入し、反応容器をはずして基板を取り出す。反応容器内壁に付着しているSiは、アセトンで湿らせた布等で拭き取る(アセトンを使用するのは、乾燥が速い、という理由からだけである)。何回も放電を行なってSiの付着が激しくなった場合には、フッ化水素酸で洗浄する。


参考文献

1)早川保昌, 松本 修, "プラズマ化学とその応用", 裳華房 (1971)
2)田中一宜, "化学総説 No.41、無機アモルファス材料", 日本化学会 編, p.111, 学会出版センター (1983)
3)桑野幸徳, 大西三千年, 表面科学, 2, 158 (1981)
4)濱川圭弘, 電子通信学会誌, 63, 406 (1980)
5)G.Turban, Y.Catherine, B.Grolleau, Thin Solid Films, 67, 309 (1980)
6)A.Matsuda, K.Tanaka, Thin Solid Films, 92, 171 (1982)



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